PS3が高い理由と、日本デザイナーの問題

月刊アスキー7月号にゲーム機に関する面白い記事が沢山載ってたので買ってみた(正確には会社に買ってもらった)

【PS3が高い理由】
驚きの価格が発表されて、お怒りのゲームユーザーも多いことと思います。
でも高い理由にはこんな事が書かれていました。

ゲーム機は通常、PCやAV機器と比べると非常に安い。これは、ゲーム機のコストが、純粋な「部品原価の積み重ね+利益」では成り立っていないからだ。ゲーム機は1社がほぼ独占的に供給する為、本体価格を長期的に黒字になるように設定できる。

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また、ハードメーカーは、他社へ自社ゲーム機向けソフトウェア出版のライセンスを行うし、自社でもゲームタイトルの開発・販売を行う。その為、ゲーム機自体の利幅はそれほど高くなくても、付帯収入から利益を上げることができる。

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ところが、PS3ではこのビジネスモデルが取りにくい。SCEが、PS3をゲーム機しかできないマシンではなく、さまざまなアプリケーションが走るエンターテインメントコンピュータにしようとしているからだ。PS3では、コンピュータとして、ハードディスクを標準搭載し、Linuxを汎用OSとして載せた形で発売される。Linux上に、ゲーム以外のアプリケーションが開発される事を想定している。
しかし、この戦略のためには、ゲーム機の価格モデルは障害となる。

つまり、今までのゲームビジネスモデルは、ライセンス料などでハードの赤字をカバーできたが、PS3では、Liknux上で無料のアプリケーションが動いてしまう為ハードの赤字はカバーできなくなる。その為に高い。という事だろう。

ふと思ったが、ゲームの学校などは、PS3をゲーム作成学習用の機材として、購入するんじゃないだろうか?パソコンよりも安いし、Linuxプログラミングもシェーダープログラミングもゲームプログラミングもできてしまう。
ゲームの学校に限らず、小中高校にPS3が導入されたら、ゲームプログラミング大国になるような予感がする。

【日米を分かつ「プログラマブルシェーダ」という壁】
デザイナーのプログラマブルシェーダ技術が、日米では大きな差になっているという話。

PCの世界では2000年のDirectX8世代に初めて実装され、その歴史が始まった。欧米、とくに欧州でシェアの大きかったゲームではこの仕組みがいち早く取り入れられ、2001年発売のXbox1もプログラマブルシェーダーを実装し、これが欧米でシェアを拡大したことにより、PCゲーム、家庭用ゲーム双方においてプログラマブルシェーダーが市民権を得た。ところが、PS2主導で進んだ日本の開発現場には、この動向の流れ込みにくかった。

極論になるがプログラマブルシェーダーに関していえば欧米に対して最大6年間のビハインドを抱えている計算になり、この差がゲーム画面に現れている・・・・というわけだ。

プログラマやエンジニアに関して言えば、日本の開発者も数学や物理の知識に長けているので数ヶ月もしないうちにこのビハインドは取り戻せるが、問題はアーティストやデザイナーだ。

ある異なる日本メーカーに籍を置く、PS3タイトル開発担当の複数のプログラマたちは「もともと数字よりも直感と感性、美的センスのウデを磨いてきた人種に、なぜその画素がこの色になるのか数学と物理の側面から納得してもらうのが大変」といった愚痴を筆者に漏らしていた。

欧米のアーティストやデザイナーは、この苦労を6年分先に経験しているので、
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「ドーナツ喰ってキーを叩くだけのプログラマ連中に陰影の味付けまで任せられるものか。シェーダデザインまでが自分の仕事」とまで言いきってくる。

確かに日本には、描画のプログラム的知識を持ったデザイナーが少ないと思う。
自分が今までにかかわってきた仕事では、3人程度しか居なかった。

デザイナーでは、数学や物理の知識に拒否反応をしめす人が多く。プログラマではデザイナにそういう知識を覚えさせる負担を減らしたほうがいいと考えてる人が多いんじゃないだろうか。

むしろ逆の行動を取り、日本ゲームグラフィックの、質向上の為にがんばらないといけないと思う。